妻と瀬戸内市立美術館(瀬戸内市牛窓)で開催さてれている「-驚愕- 超絶の世界展」へ行っていきました。
この美術館は瀬戸内市の牛窓支所や公民館と併設された施設内にある小さな美術館ですが、とても良い企画展が再開される事の多い美術館の一つだと思います。
今回は絵画と工芸の分野で話題となっている作品が展示されています。とても高い集中力から生み出された超絶技巧な数々の作品を堪能することが出来ました。
今回の企画展は「撮影可能です」との案内を頂き撮影することにしました。
入室後一番に目に飛び込んで来る作品がポスターのバックにも描かれている"大森浩平"さんの作品です。
完成までに280時間程かかったとされるこの作品、ディテールまで見事に表現されていて"鉛筆による実写"と言われますが、いくら見てもとても鉛筆書きとは思えない作品です。
まさに写真以上のディテールです!。
作:大森浩平さん
鉛筆で水の滴りや装飾品のグラデーションがこんなにもリアルに表現できるのか?!只々感心するばかりです。
作:今野朋子さん
内部は柔らかそうなフワフワした絨毯のように見え、手を触れてみたいという衝動が掻き立てられる程自然な毛並みですが全て焼き物です。
作:辻さん
とても繊細な切り絵です。最後の最後に一寸した気の緩みで刃先が・・・!って、私の場合なりそうです。(きっと最初あたりで)
作:田村敬星さん
極細字で書かれた九谷焼きです。書かれた文字を見る為に作品の脇にルーペが置いてありました。
拡大してみても只々感心するばかりです。"九谷毛筆細字"≪くたにもうひつさいじ≫という手法だそうです。
作:加藤直樹さん
これが"焼き物"?と思わせる作品です。パッと見ガラス細工のように思いました。よくよく見ても焼き物には見えません。手法は糸に陶土を染み込ませて形を作り焼き上げるそうです。
作:服部真紀子さん
土台となる器の表面に無数の小さな襞≪ひだ≫を張り付け埋め尽くされた作品です。気の遠くなる作業だと思います。手先の不器用な私の場合最初の一襞で挫折してしまいます。
作:新宮さやかさん
ペーパーフラワーを思わせる作品でとても焼き物には見えません。土に黒色の顔料の割合を変えてグレデーションの異なる数種類の粘土を作りそれを元に仕上げらた作品です。中心の雄しべは一本一本を糸のようにして数千本も作られそれを束ねているそうです。
どの作品も只々感心させられる物ばかりで時間を忘れ見入ってしまいました。
芸術鑑賞の後は"岡山の祭りずし"のルーツと言われている"どどめせ"を食べに瀬戸内市長船を目指します。
瀬戸内市長船≪おさふね≫は「備前長船兼光」という刀が有名な所ですが、長船の備前福岡(瀬戸内市長船町福岡)という場所は知る人ぞ知る所で、九州の「福岡」の名は「備前福岡」に由来しているそうです。また弘安元年(1278年)福岡の市で説法する様子を描いた国宝の一遍上人聖絵の「中世福岡の市」でも有名な所だそうです。この備前福岡という所は東西に延びる山陽道と南北に流れる吉井川(岡山の三大河川の一つ)とが交わる場所で人や物などの一大集積地として山陽道でも大変栄えた場所の一つと言われ、市では農作物や海産物をはじめ備前焼や刀なども販売されていたそうです。
備前福岡にある「一文字うどん」です。
「どどめせ」は、「岡山の祭り寿司」のルーツと言われているもので、海老、穴子、里芋、しいたけ、さやえんどう、錦糸玉子などが乗り見た目にも豪華なものです。
「どどめせ」とは
酢がまだ無かった鎌倉時代、吉井川の高瀬舟の船頭さんたちの弁当に用意していた炊き込みご飯に偶然酸っぱくなった”どぶろく”が混ざり。それを食べた船頭さんたちが「ぼっけぇうめぇ弁当があるで~」(岡山弁です)と言ったかどうかわかりませんが大変評判になり、それ以来炊き込みご飯にどぶろくを混ぜて作る「どどめせ」が食べられるようになったそうです。語源は”どぶろくめし”が訛って≪なまって≫”どどめせ”と呼ばれるようになったそうです。
今回は「どどめせ定食」(1,100円税込)を頂きました。
うどんと言えば「さぬきうどん」が有名ですが、ここのうどんも負けていません。
使用する小麦は「ふくほのか」と「しらさぎ」という2種類の小麦があり「ふくほのか」はモッチリとした食感、「しらさぎ」は風味ゆたかなうどんと店のパンフレットに説明がありこの2種類から選ぶことができます。
今回は「ふくほのか」を食べましたが、モッチリとした食感に小麦の香りと旨味を味わうことができました。出汁は鰹と煮干しの豊かな香りと醤油の香りが効いていて、「どどめせ定食」大変美味しくいただくことが出来ました。
久しぶりの芸術鑑賞をして美味しいうどんに郷土料理の「祭り寿司」のルーツ「どどめせ」を食べて大変有意義な一日でした。