前編の「玉野市電跡のポタリング」に続き、後編として渋川海岸(玉野市渋川)から「王子マリンロード430《よんさんまる》」で児島迄走り、下津井電鉄の廃線跡地に整備された「風の道」で下津井港を目指します。今回走る「王子マリンロード430」は2018年に命名されたそうで、JR宇野駅前からJR児島駅迄の国道430号線の新しい愛称のようです。この区間は日本の渚百選にも選ばれている「渋川海岸」や「王子が岳」、海岸線では五色台や番の州等の四国の景色や瀬戸内の島々、さらに宇宙から見える人工建造物とも言われている瀬戸大橋等もすぐ間近に望めながら走ることが出来ます。
ちなみに、この付近一帯は「雲仙天草国立公園」と「霧島錦江湾国立公園」と共に日本で最初の国立公園に制定された「瀬戸内海国立公園」の中央部付近に位置しています。国立公園の中を、瀬戸内海の多島美等の景色に感動しつつ、ワクワクしながら走ることの出来コースです。
渋川海岸でしっかりと煙草休憩をしてミニベロロード アイゼル M300で出発します。
渋川港脇には元気に泳ぐ鯉のぼりと「王子マリンロード430」という案内板がありました。
振り返って見た渋川海岸です。中央の大きな建物は「ダイヤモンド瀬戸内マリンホテル」です。このホテルは2015年に西島秀俊、香川照之主演の日曜劇場「流星ワゴン」で病院としてロケに使用された場所で、渋川海岸などでも撮影が行われていました。
後方を振り返ると、大槌島や左後方には少し霞んでいますが高松市街地が望めます。
海岸沿いを走ります。バイクとは違う爽快感を感じます。
左前方には南北備瀬戸大橋が見えています。この2橋のうちの南備讃瀬戸大橋(左側の四国側の橋)は、鉄道道路併用橋としては世界第2位の規模だそうです。ちなみに、1997年に香港の青馬大橋が開通する迄は世界第1位を誇っていたそうです。
一般的に瀬戸大橋と呼ばれているのは、岡山県倉敷市児島と香川県坂出市を繋ぐ道路鉄道併用橋の総称で、3つの吊り橋(下津井瀬戸大橋、北備讃瀬戸大橋、南備讃瀬戸大橋)、2つの斜張橋(櫃石島橋、岩黒島橋)、1つのトラス橋(与島橋)、番の州高架橋で構成されています。この瀬戸大橋は「世界一長い鉄道道路併用橋」としてギネス世界記録にも認定されています。
今回スマホがナビとして活躍しています。
前方にクジラ島が見えています。島名の由来はクジラに似ているからだそうです。
岩の上でウミウが羽を休めていました。
海岸では釣りを楽しんでいる方もいらっしゃいました。左前方には鷲羽山ハイランドが見えています。
王子が岳の山頂付近です。大きな岩が今にも転げ落ちそうですが……
前方に児島の市街地が見えてきました。
児島唐琴付近です。「鷲羽山10km」の路面表示がありました。
クジラ島と瀬戸大橋です。
この付近は車道幅が狭かったので、自歩道を走りました。右側のコンクリートは護岸の跡のようで、昔はここが海岸線だったようです。
田の口港(倉敷市児島田の口)です。
田の口港にある由加山の鳥居と備前焼の狛犬です。田の口港は金比羅さんと由加の両参りの海の玄関口だったそうです。また、現在は右にある鳥居はかつては海の中にあったそうで、よく見ると鳥居の下部が変色しているのが分かります。
備焼きの狛犬とアイゼル M300です。
田の浦港を出発します。
直進方向は旧道になるので、この田の口交差点を左折します。
しばらく走ると県道21号線(岡山児島線)の交差点が見えてきました。
児島支所の前を通過します。
平成橋の手前で国道430号線から旧道に出て昭和橋を渡ります。
味野公園と児島市民交流センターです。味野公園は全国の色々な橋を集めたユニークな「橋の公園」として観光客や市民の憩いの場となっているようです。奥に見える半円形の建物が児島市民交流センターで、瀬戸大橋の開通に合わせて「瀬戸大橋架橋記念館」としてオープンしたものですが、2010年に現在の児島市民交流センターとしてリニューアルオープンしたそうです。この建物は屋根が太鼓橋をイメージに設計されていて、屋根の上を渡ることが出来る造りになっています。また、この付近が下津井電鉄の「旧味野駅」(後の児島駅)」跡地になります。
下津井電鉄旧児島駅跡に到着しました。この駅舎は1988年(昭和63年)に、この場所に駅が移動した際に新たに作られたそうです。下津井電鉄廃線後は「風の道」の起点として現在も活用されています。
旧駅舎内は当時の様子を留め、ホームや駅標などが残されています。ここでしばらく休憩します。構内は禁煙なので、外に出てタバコタイムです。
ホームに残る駅標の前で記念撮影です。ホーム先端からスロープでそのまま「風の道」に入れます。
「風の道」です。この沿道には沢山の鉄道遺構が残されていて、走って楽しいルートです。
少し進むと「風の道」の案内板がありました。
「風の道」のコースと「中国自然歩道」のコース図もありました。
先に進みます。
沿道には沢山の花が植えられていて、その奥に鷲羽山ハイランドが見えてきました。
踏切跡を横断します。
しばらく走ると前方に「備前赤崎駅跡」が見えて来ました。
「備前赤崎駅跡」に到着です。
この奥から走って来ました。備前赤崎駅には両側にホームが残されていて、駅舎は右側にあったようです。
「備前赤崎駅跡」を出発すると、国道430号線に出ました。鉄道跡地はそのまま続いているようですが、自転車道には「道路横断禁止」の注意看板があります。
近くの横断歩道を渡り戻ってきました。写真の奥が備前赤崎駅方面です。
鉄道跡地は左にカーブしています。
児島ICに向かう道路を横断し、しばらく進むと「阿津駅跡」が見えてきました。
「阿津駅跡」に到着しました。
ホームのスロープも当時のまま残されているようです。
ホームの角にベンチが設置されています。
「阿津駅跡」を出発します。この先からは登り坂になるようでが登り坂といっても鉄道跡地なので車道のような急勾配ではく楽に上ることが出来ます。
八重桜の中を登って行きます。
JR瀬戸大橋線の高架橋が見えてきました。
坂道を登って行くと「琴海《きんかい》駅跡」が見えてきました。右側に残るホームは島式ホームです。
「琴海駅跡」に到着しました。
右奥から登ってきました。面影はありませんが、駅舎と下り線のホームは右側にあったようです。
当時利用者は、この道で駅まで登って来ていたのでしょうか。
「琴海駅跡」を出発します。
路線跡はS字カーブで少しずつ登っていきます。
振返ると「琴海駅跡」(左側)と、児島競艇場が見えました。
競艇場ではボートレースが行われているようです。
大きなグラパネに走行するボートが映し出されているようです。
先に進みます。
左右から竹藪が迫ってきます。
しばらく走ると東側の展望が開けました。クジラ島(左側)や大槌島(中央)、小槌島(右側)、奥には少し霞んでいますが高松市街地や屋島が見えています。
瀬戸道の下を潜ります。この付近で自動車道と鉄道が上下に重なります。上段が瀬戸道で下段がJR瀬戸大橋線です。
両側から迫るような切通しです。
切通しを抜けると「鷲羽山駅跡」が見えてきました。そのままスロープでホーム跡に上がります。
「鷲羽山駅跡」に到着しました。後方には鷲羽山への登山道が見えています。ここから歩いて10分程で山頂まで登ることが出来ます。
鷲羽山は標高133mの鍾秀峰《しょうしゅうほう》が山頂で、鷲が羽を広げた様に見えることから「鷲羽山」と名付けられたそうです。展望台からは波静かな瀬戸内海の多島美や瀬戸大橋を一望することができます。また、夕暮れ時の美しさは格別で「日本の夕陽百選」にも選定されています。
ホーム跡に続く展望デッキに移動しました。
下津井瀬戸大橋がすぐ近くに望めます。ここで下津井瀬戸大橋を眺めながらタバコ休憩にします。
海を隔てて下津井瀬戸大橋の先に見える櫃石島は香川県で、下津井瀬戸大橋の中間地点が岡山県と香川県の県境になっています。
ちなみに、瀬戸中央道の岡山側の起点早島ICから県境となる下津井瀬戸大橋の中間地点までは21.60kmです。ここを境に岡山県警高速隊と香川県警高速隊の管轄も変わりますが、瀬戸大橋は両県高速隊が相互乗り入れしているため、他路線より取締り頻度は多いかも知れません。瀬戸大橋を走る際には景色に見とれないで、安全走行をしてください。瀬戸道は高速道路です。途中で停車して景色を眺める等、危険ですから絶対にしてはいけません。瀬戸大橋の中間地点付近の26.5kmに、海に浮かぶ「与島PA」があるので、休憩はそちらで!
「鷲羽山駅跡」を出発しました。ここから下津井まではずっと下り坂になります。しばらく進むと県道393号線(鷲羽山公園線)に出ました。横断歩道を渡りさらに進みます。
しばらく進むと「東下津井駅跡」が見えてきました。
「東下津井駅跡」に到着しました。
左奥から来ました。
次は終点の下津井です。
下り坂ですが、路面の状態が悪く走りにくいです。
路線跡は左へ大きくカーブし始めます。
左手には下津井の新興住宅地越しに海が見えてきました。昔は田園風景の先に下津井港が見えていましたが、風景は変わってしまいました。
ひたすら下ると前方に跨線橋が見えてきました。今は跨道橋ですが… この跨線橋を潜ると「下津井駅跡」です。
跨線橋の奥から走って来ました。
前方に「下津井駅跡」が見えます。当時は左側に駅舎がありました。ホームは当時のまま三面共残されていて、右奥には沢山の電車が見えます。
もう少しで到着です。
奥に先程潜ってきた跨線橋が見えます。駅舎跡を通り駅標のある島ホーム側に向かいます。
「下津井駅跡」に到着しました。
モハ1001号機です。この車両は「赤いクレパス号」として活躍した車両ではないかと思います。
当時はフジカラーのラッピング車両で走っていたモハ103号ではないでしょうか?。
ホジ3号気動車のようです。下津井電鉄には珍しい気動車で、井笠鉄道から来たようです。
デッキ付のクハ5号です。元々ガソリンカーだったそうですが、モーターを持たない電車の制御車(運転席の付いた車両)として活躍していたようです。
奥には2000形メリーベル号もありました。この車両は展望デッキを備えたメルヘンチックなものでした。
懐かしい電車をしっかりと堪能させていただいたので、帰路に就く事にします。
登り坂をゆっくりと登って行きます。
途中漁具が置かれています。さすが漁業の町です。
大きく右にカーブしながら少しずつ登っています。
この付近から下津井城跡に行く事が出来るようです。
右後方に下津井城跡も望めます。
「東下津井駅跡」が見えてきました。
しばらく進むと、下津井瀬戸大橋が見えてきました。
自転車を置いて撮影します。
鷲羽山が見えてきました。
「鷲羽山駅跡」を過ぎた付近から下り坂になっています。瀬戸道の下を潜ります。
カーブが続く坂道を下って行きます。
前方に桐の花が咲いていました。
「琴海駅跡」を通過します。
児島競艇場の先に児島市街地が見えてきました。
さらに下って行きます。
JR瀬戸大橋線の高架橋が見えてきました。
「阿津駅跡」を通過します。
「備前赤崎駅跡」を通過します。
紡績工場の横を抜けて走ります。さすが繊維の町児島です。
踏切作動反応灯(踏切表示灯)も、そのまま残されています。
踏切表示灯は、列車の運転手に踏切の遮断機が正常に作動していることを知らせるものです。
「児島駅跡」が見えてきました。
「児島駅跡」のホームに到着しました。下津井からノンストップで25分程で到着です。
駅舎の中で少し休憩です。
しっかりとタバコ休憩し、水分補給も完了しました。この後友人の所に久しぶりに立寄り少し話をして帰るつもりが、ついつい話し込んでしまい少し遅くなってしまいました。取り敢えず渋川まで一気に走ります。
田の口交差点です。この交差点を左折し県道366号線(児島長尾線)で加茂路峠を越えて自宅へ向かうと最短距離で帰る事も出来ますが、今回は右折し渋川方面に向かいます。
田の口港が見えてきました。
王子が岳と大槌島が見えてきました。
児島唐琴です。「ゆっくり」という路面表示がありました。
児島唐琴を抜けると再び海岸線を走ります。
やはり海岸線は走っていて気持ちい~!。
駐車場に入り、王子が岳を撮影しました。昔はこの近くに国民宿舎があり、リフトで王子が岳に行く事ができていましたが、現在はどちらも無くなっています。
山頂付近をズームアップで撮影し、スタートします。
大槌島が近づいてきました。私の影も長くなってきています。
「宇野10km」の路面表示がありました。
渋川海岸が見えてきました。
児島の友人の所から30分程で渋川港に到着です。妻から「どの辺り?」とラインが入っていたので電話をしてみました。仕事が終わったようなのでここまで迎えに来てくれるそうです。宇野まではここから30分程だとは思いますが、遅くなったこともあり迎えに来てもらうことにしました。
宇野から渋川までは車で20分弱です。タバコを吸いながら待つ事にしました。渋川海岸の先には高松市街地が見えています。
時間は18時過ぎです。周囲が少しずつ夕焼け色に変わってきています。今日は宇野駅をスタートし下津井までの片道約27km、全行程55km程の予定でしたが結局渋川止まりとなり、最終走行距離は48kmでした。友人の所へ立ち寄ったりしたので多少距離が伸びたようです。
今回は「玉野市電跡地」と下津井電鉄跡地の「風の道」という二つの鉄道跡地、それに「王子マリンロード430」と新しい愛称の付いた国道430号線の海岸線など一日楽しむ事が出来ました。
今回もアイゼル M300は大活躍でした。通勤や街中のポタリング用で購入しましたが、走行距離も少ずつ伸び、下り坂で48kmと最高速度も更新してしまいました。ミニベロでの高速走行はタイヤ径が小さい事もあってか多少不安定に感じますが、これも慣れなのかも知れません。ディスクブレーキへの信頼性もあってか、今回は前程の恐怖感は感じませんでした。ただ登り坂は以前のクロスバイク(24段)に比べアイゼルM300は14段とギアの設定幅が少ないために、かなりしんどく感じました。私の体力不足が大いに関係していると思うので、通勤や街中のポタリングなど、こまめに乗るようにして体力作りに努めたいと思います。