備中高松城跡の宗治蓮

先日後楽園で観光ボランティアをしている友人と話をしていた際、今年は後楽園の蓮の花はどう?と聞くと、今年は全体的にはイマイチだということでした。久しぶりに蓮の花を撮影したいと思いましたが、今年は後楽園は諦めて備中高松城址(岡山市北区)に咲く「宗治蓮」という蓮の花を撮影してみることにし、バイクで出かけることにしました。

f:id:momotchi_blog:20200723143127j:plain行く道中にある最上稲荷の大鳥居です。高さ約27.5m、柱の直径が約4.6m、総重量約2,800t、京都の平安神宮のあの大きな鳥居よりも更に大きな鳥居だそうです。ちなみに最上稲荷はお寺ですが、そのお寺の鳥居のなかでは、この最上稲荷の鳥居が日本一の大きさだそうです。

f:id:momotchi_blog:20200723143139j:plain最上稲荷へつながる参道脇に「備中高松城址 400m」の案内板があり、ここを左折します。

f:id:momotchi_blog:20200723143450j:plain自宅からバイクで30分弱、途中小雨に遇いましたが、さほど濡れることもなく無事備中高松城址に到着しました。ここは「高松城水攻め」で有名な城址です。散策路の木道脇には菖蒲が植えられていて、5月頃には見事な菖蒲の花を見ることが出来ます。

f:id:momotchi_blog:20200723144511j:plain花の散った蓮もありますが、まだ沢山の蓮の花が咲いていました。

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f:id:momotchi_blog:20200723143553j:plainf:id:momotchi_blog:20200723143624j:plain先程降った雨が蓮の葉に残っています。

f:id:momotchi_blog:20200723144307j:plain奥に見える橋は、二の丸と本丸を繋ぐ橋です。

f:id:momotchi_blog:20200723143659j:plain橋の袂に「宗治蓮」の説明がありました。

f:id:momotchi_blog:20200723143644j:plain橋を渡り本丸側に行ってみます。

f:id:momotchi_blog:20200723144211j:plain本丸側から見た宗治蓮です。

f:id:momotchi_blog:20200723143816j:plain高松城本丸跡には城主清水宗治首塚があります。首は当初別の場所に埋められていたそうですが、明治以降にこの地に移されたと言い伝えられています。

f:id:momotchi_blog:20200723143801j:plain首塚の脇には「浮世をば 今こそ渡れ 武士《もののふ》の 名を高松の 苔に残して」としたためた清水宗治の辞世の歌碑がありました。

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f:id:momotchi_blog:20200723144233j:plain本丸脇の法面には名前は分かりませんが、キノコが生えていました。

f:id:momotchi_blog:20200723143607j:plain松の枝の間から、蓮の蕾が顔を出していました。

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f:id:momotchi_blog:20200723144548j:plain萩の花も咲いていました。

f:id:momotchi_blog:20200723144603j:plain少し種類の違う八重咲き蓮も咲いていました。

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f:id:momotchi_blog:20200723144711j:plain私は八重咲きの蓮の花は余り見たことがありませんが、花の大きさには違いがあるものの、睡蓮の花を連想しました。

ちなみに、蓮と睡蓮の違いをご存知でしょうか?。蓮も睡蓮も共に抽水植物《ちゅうすいしょくぶつ》で、日中に開花し夜には花を閉じ、一つの花の寿命は僅か3日間と言われています。

葉の特徴として、睡蓮の葉には切れ込みがあり、赤い葉や斑入り《ふいり》の葉などがあったりするのに対し、蓮の葉は切れ込みは無く濃淡こそあれ緑一色で、葉の表面に撥水加工が施されたように水を弾く特徴があります。子どもの頃に雨が降ると蓮の葉を傘にして遊んだことが思い出されます。また春先に葉が出始めの頃には共に浮き葉で水の表面に浮いていますが、成長すると蓮は立ち葉が出てきて高い所迄伸び葉をつけるという特徴があります。

花についても同様に、睡蓮は水面または水面近くで咲くのに対し、蓮は水面から1~2m程茎が伸びた先の高い場所で花を咲かせるといった違いがあるようです。

f:id:momotchi_blog:20200723144807j:plain露草の花も咲いていました。最近露草もなかなか目にすることがなくなりました。蓮の花をしっかりと堪能したので園内にある「高松城址公園資料館」に立ち寄ってみることにします。

f:id:momotchi_blog:20200723144731j:plain高松城址公園は今まで何度か来ていますが、毎回資料館は閉まっていて今回初めて館内に入ります。内部には高松城水攻めの様子がよく解かる資料や、遺物、文化財なども、狭いスペースの中に所狭しと展示されていました。

f:id:momotchi_blog:20200723144746j:plain高松城の戦い」のジオラマも展示されていました。陣を構えるのはいずれも歴史に名を残した武将たちで、このジオラマでその武将たちが備中高松城を包囲していたことが解ります。

この戦いは、1577年(天正5年)織田信長の命により羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)が行った「中国攻め」の中でも、1580年(天正8年)の三木城(兵庫県三木市)と、1581年(天正9年)の鳥取城(鳥取市)の兵糧攻め1582年(天正10年)備中高松城の水攻めは「中国攻めの三大攻防戦」として知られ、この備中高松城は水攻めによって包囲したことから「高松城の水攻め」と呼ばれています。水攻めは国内では3例、海外でも中国とオランダの2例だけだそうですが、成功したのはこの高松城の水攻めのみだったようです。

この城址は国の史跡に指定され「続日本百名城」の一つにも数えられているそうです。

これから築堤跡の一部が残る「高松城水攻め史跡公園」に向かうことにします。

f:id:momotchi_blog:20200723144829j:plainここは蛙ケ鼻《かわずがはな》という場所で、築堤の東側の起点部であり、羽柴秀吉黒田孝高(後の黒田官兵衛)が陣を構えた石井山への登山口近くにあります。

現在では山側から100m程の築堤が残されているだけですが、史跡公園として整備されていて築堤の断面や構造などが解るようになっています。

沼地に築かれた城地の利を生かし籠城戦で善戦していた備中高松城、攻めあぐねていた秀吉軍に、城の周囲は山々に囲まれ更には湿地帯という状況を逆に利用し、築堤を築くことで城を水没させる案を軍師官兵衛こと黒田孝高提言し、即座に実行されたそうです。

f:id:momotchi_blog:20200723144842j:plain築堤は全長約3kmで高さは約8m、底部は約24mで上幅は約12mだったそうです。築堤は1582年(天正10年)5月8日に工事に着手しわずか12日で完成したそうです。これだけの規模の築堤を何と12日で作ってしまったのです。現代の技術力を持ってしても、はたして可能なのかどうか?。何故これだけの規模の築堤がこれ程迄の短期間で作ることが出来たのか?・・・。それは、土嚢1俵に付き銭100文、米1升という当時としてはとても破格な報酬で物資や人を確保したことで実現させたと言われています。

完成時期は丁度今と同じ梅雨時期(旧暦の5月8日は、新暦の6月下旬)で、降り続いていた雨により足守川も増水、一気に備中高松城の周り一体に大きな湖が出現し、備中高松城はその湖の中の完全な孤島となってしまい、戦に終止符が打たれる結果に至ったようです。

水に守られ、水に散った高松城清水宗治、落城から400年もの年月を超え蘇った宗治蓮の想いを感じつつ、歴史のロマンや儚さを考えさせられたようの気がしました。

 

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