ホタルといっても今の時期に飛んでいるはずはありません。
飛んでいる成虫のホタルではなく卵から孵化した幼虫たちが水中で過ごした後、土の中で蛹化《ようか》(蛹になる)のため雨の日に水中から石垣などの用水路の斜面を上陸する姿を撮影するためです。
幼虫も成虫と同じように淡い光を放ちます。その幻想な光を放ちながら石垣を移動する光景は感動さえ覚えます。
暖かい日が続き、そろそろホタルの幼虫が上陸する時期ではないかと思っていましたが待望の雨がなかなか降らず、今夜は待ちに待った雨なのでホタル先生に状況を伺う電話をしてみました。
由加山では上陸が始まったようですがまだ数は少なく前回の雨の日、南区奥迫川の様子を見にいかれた際にはかなりの数の幼虫が上陸していたそうです。
今夜も沢山の幼虫が上陸するのではないかとご教示いただき、夜勤明けでしたが早々に目覚め夕方から準備し出掛けてみることにしました。
撮影場所はホタル先生に教示いただいたポイントです。
到着後ホタル先生に連絡し、現地で詳細な場所をご教示いただきながらカメラをセッティングします。
まずはR7に30mm(フルサイズ換算48mm)のレンズを取付けセッティングしました。
撮影設定は、ISO200、F値は解放の1.4、露光時間10秒のインターバル撮影でノイズ除去解除です。
9000Dには50mm(フルサイズ換算80mm)のレンズを取付けセッティング、9000Dの撮影設定は、ISO100、F値は解放の1.8、露光時間10秒のインターバル撮影でノイズ除去解除です。
それぞれ雨対策の傘を取付け準備完了です。
上陸が始まるのは19時前頃からなのでまだかなり時間があり、持参したコーヒーを飲みながらのんびりと待つことにします。
18時50分頃一匹目の幼虫を発見、まだ周囲は明るいので撮影はもう少し待つことにします。
R7で19時過ぎから23時前まで撮影したものから余計な光などの入った写真を除いた800枚ほどを比較明合成した写真です。
しかし今夜は川岸の草むら周辺を動き周るだけで、上まで登っていく幼虫は数えるほどでした。
9000Dを最初にセッティングした場所には全く上陸する様子もなく時間だけが流れていきます。
周囲を見て周っていると数匹の幼虫が上陸している場所があったので9000Dを移動することにしました。
移動後21時過ぎから23時前まで撮影したものから光などの入った写真を除いた300枚ほどを比較明合成した写真です。
ISOを100で撮影したためか、幼虫の光が小さくなってしまいました……
こちらも川岸の草むら周辺を動き周るだけで、上まで登ったのは数えるほどでした。
しかし今年初めての撮影でこれだけ幼虫を撮影することができたのはホタル先生のおかげです。
22時前ごろ、街路灯から少し離れた少し明るい道路を横断する幼虫を見つけました。
ここまで来たら車も走り危険なうえ、この先潜る土もありません……
しかしあえて手助けはせず自然に任せホタルの生命力に委ねます。
22時30分頃ホタル先生が由加山の調査を終えられ、こちらの調査においでになりました。
話を伺うと、由加山は相変わらずそこそこしか上陸していないそうです。今年はこの場所に600匹を放流されたそうなので、まだまだ上陸は続くのではないかとおっしゃっていました。
23時前ホタル先生は調査を始められるそうですが、私は明日朝から所用があるので先に引き上げさせていただきました。しかし毎回思うことですが、ホタル先生の研究熱心さには感心させられます。
また次回の雨の日に訪れてみたいと思います。