朝夕は多少肌寒く感じるものの、日中は暑いくらいまで気温が上昇し、寒暖差も大きく体調管理には十分気を付けたい季節です。しかしこの寒暖差を待っている者もいます。それは生まれてから9ヶ月近く水の中で過ごしていたホタルの幼虫です。この季節、降雨時や降雨後の夜に水の中から地上に上陸し、陸上部の土の中で幼虫から成虫になるために繭《まゆ》を作るそうです。
昨年、由加山近くにある「蛍遊の水辺由加」《けいゆうのみずべゆが》(倉敷市児島由加)でホタル先生にホタルの事やその撮影手法など色々とご教示いただきました。シーズン終わりに、この時期にホタルの上陸が見られると伺っていたので、撮影に同行させていただきたいとお願いしていました。
数日前、今日の天気は昼過ぎ頃までが雨で、それ以降晴れの予報だったのでホタル先生に連絡をしてみると「時期的に少し早いようですが、もしかしたら数匹の上陸が見られるかも知れません」との話だったので、この日出かけてみることにしました。
久しぶりに訪れる「蛍遊の水辺由加」です。
18時過ぎ私が到着すると、ホタル先生は既に到着されていて色々と調査をされていました。ここ「蛍遊の水辺由加」周辺も桜が見頃でした。
準備をして撮影場所まで移動します。
ホタル先生にアドバイスをいただき、カメラをセッティングし前撮りを行いました。これから暗くなるまで待つ事になります。しかし暗くなっても全くホタルの幼虫の姿が見えません…、時間だけが過ぎていきます…。濡れる程では無いのですが、たまにパラパラと小雨も降ったりしています。
20時半頃、近くで1匹のホタルの幼虫が石垣を上るのが見えました! そうですホタルの幼虫も、成虫と同じように発光しているのです! 感動的です!
ホタル先生のアドバイスを受けながら場所を移動しカメラを再設置、撮影を開始しました。
1分間に1cm程のゆっくりとした動きです。このホタルはゲンジボタルだそうで、ヘイケボタルの上陸もこの近くでも見られるそうですが、ヘイケボタルは個体が小さく、発光も弱く撮影しにくいそうです。
二匹のホタルの幼虫が上っています。
撮影開始から約2時間分の写真を、昨年ホタル先生からご教示いただいた「比較明合成」という手法で合成したものです。黄色い破線のように見えるのがホタルの幼虫の移動した様子です。
石垣の右側を上るホタルの幼虫をアップしました。破線が途切れた部分は草や岩陰に隠れた場所や、幼虫が発光を停止した状態で移動したとことです。また破線の途切れが短い所は移動速度がとても遅いところではないかと思います。
左側を上るホタルの幼虫のです。
22時30分頃上空の雲の間から月が顔を覗かせ始めました。周囲は一気に明るくなり撮影を継続することが難しくなくなり、今日の撮影は切り上げることにしました。今回は夕方19時頃から22時30分頃まで撮影し、前半は場所の選定ミスで見る事が出来ず、後半で初めてホタルの幼虫の上陸を見る事が出来ました。数は少なかったものの、初めて見たホタルの幼虫の上陸シーンは大感動でした。
この「蛍遊の水辺由加」はホタルのために人工的に整備された環境なので、ホタルにとってはとても住みやすい所なのかも知れません。撮影中もホタル先生は、あちらこちらでホタルや周辺環境の調査をされていて、後で伺うと今夜は50匹ほどの上陸が見られたそうです。
川岸から50cm付近迄はホタルが上陸してくる場所だそうなので、ホタルの幼虫の観察や撮影時には、その場所には足を踏み入れないように注意する必要があるとホタル先生からアドバイスをいただきました。ホタルたちの生活環境に影響を与えないよう注意しながら撮影したいと思います。
ホタルの幼虫の上陸は4月下旬頃まで見られるそうなので、また機会を作って撮影に訪れてみたいと思います。雨の日が待ち遠しい!