久しぶりに九州へツーリングに出かける事にしました。今回は一泊二日で「やなみハイウェイ」や「ミルクロード」を走ったり、玖珠郡九重町《くす郡ここのえまち》を中心に散策したり、阿蘇山まで少し足を延ばしたりしたいと思います。
0時過ぎに自宅を出発し国道2号線を走り玉島ICから山陽道に乗換えました。広島ICを通過し宮島SAでタバコ休憩、さらに西に進みます。
山口JCTで中国道に合流し美東SAで給油を兼ねて休憩です。山陽道を九州方面に走る時には必ず立ち寄り食べる「美東ちゃんぽん亭」の名物「美東ちゃんぽん」(780円)です。ここは24時間営業でいつでも気軽に食べる事が出来ます。
スープはしっかりとしたコクが感じられ、地元産の海鮮や特産のごぼうなど野菜が沢山盛られていて超旨い! SAの食事としては超お勧めな一品ではないでしょうか。お腹も大満足、タバコをしっかりと吸って出発します。
少し夜が明けて来ました。壇ノ浦PAからの合流部の先に関門橋が見えています。下関ICから門司IC間は厳密に言えば「関門自動車道」だそうですが、kp表示は中国道から継続されていて門司ICの549.5kpが終点となり九州道に変わります。
北九州JCTです。九州道は直進し佐賀県や熊本県を経由し鹿児島県に至りますが私は行橋、大分方面の東九州道に入ります。
東九州道を走り別府湾SAに到着しました。早々に喫煙ルームへ向かいます。
タバコを吸い展望台にやって来ました。しっかりと休憩出来たので出発します。
別府ICで流出し大分熊本県道11号線で由布岳の南側にある登山口付近を走ります。
峠を下り始めると、左手に湯布院の市街地が開けました。
正面に豊後富士とも言われる標高1,583mの由布岳が迫ってきます。
県道11号線は湯布院市街地の手前で左折します。
湯布院市街地の南側を抜け県道11号線と一度別れ国道210号線を走って再び県道11号線に合流し「やまなみハイウェイ」に入ります。この道路は大分県由布市の水分峠と熊本県阿蘇市の一の宮町を結び、大分熊本県道11号線の一部区間からなり、由布岳やくじゅう連山を間近に見る事の出来る全国的にも有数のツーリングコースです。1964年(昭和39年)に有料道路の別府阿蘇道路として供用が開始され、「やまなみハイウェイ」の愛称で九州の代表的な観光コースとなり、1994年(平成6年)に無料開放されました。
「くじゅう連山」が見えて来ました。
県道621号線と交差する飯田高原交差点を直進します。
標高900mの飯田高原を快走します。
小さな峠を越えると正面に「くじゅう連山」が迫って来ました。
長者原の交差点を右折し「泉水グリーンロード」で筋湯温泉方面に向かいます。
筋湯温泉の案内板がありました。温泉街の脇をそのまま通過します。
筋湯温泉を過ぎ1km程進むと目的地の「小松地獄」に到着しました。近くには国内最大級の地熱発電所である九州電力の八丁原発電所もあります。バイクを置いて遊歩道を進みます。
しばらく進むと遊歩道脇にゴーーゴーーと音を響かせながらを温泉が吹き上がっています。
さらに進むと湯煙が見えて来ました。
辺り一帯には硫黄の匂いが漂います。地獄と言われる場所は色々と有りますが、この「小松地獄」は小規模ながら、かなりの迫力があり超穴場ではないかと毎回思います。
温泉玉子が作れます。毎回ここに来る際は途中で玉子を買って来ています。案内板によると約9分で出来上がるようでが、私は少し半熟にするため8分ほど浸けて上げるようにしています。
途中で買った玉子です。ここには籠も用意されています。
地獄に玉子を入れました。待つ間「小松地獄」を散策してみます。
あちらこちらでボコボコと温泉が湧いています。
ボコ・・・ ボコ・・・と湧き上がる熱泥が坊主頭のように見えます。
時間が来たので引き上げてみます。
早速味見してみます。旨い! 一つだけいただき残りは今夜のビールの肴にします。
「小松地獄」の手前にある筋湯温泉に立寄りました。
共同浴場の「うたせ大浴場」です。この温泉は3mの高さから落ちる「日本一のうたせ湯」があるようで、肩凝りなどの筋の凝りなどに効く事から「筋湯」と呼ばれるようになったそうです。
入浴するにはメダルを購入するシステムのようです。自販機でメダルを購入し「日本一のうたせ湯」を楽しみます。打たせ湯でしっかりと疲れを癒す事が出来ました。肩や腰も楽になっようです。この後、県道40号線を走り「九重“夢”大吊橋」に向かいます。
「九重“夢”大吊橋」に到着しました。この橋は2006年(平成18年)に開通、長さが390m、高さが173m、幅は1.5mで歩道専用橋としては日本一の高さを誇る吊橋だそうです。
500円を支払い吊橋を渡ってみます。
吊橋の下には鳴子川渓谷の原生林が広がり、日本の滝百選にも選ばれた震動の滝「雄滝」と「雌滝」が見えました。まさに「天空の散歩道」と言う言葉がピッタリの吊橋でした。この後、飯田高原から県道621号線で天然の炭酸水が湧き出る「白水鉱泉《しらみずこうせん》」に向かいます。
「白水鉱泉」に到着です。奥には水汲み場も見えています。
天然の炭酸水がふんだんに湧き出ていています。多量の二酸化炭素が鉱泉に含まれていて、周囲の岩や土壌が白く染まって湧水が白く見える事から白水と呼ばれるようになったそうです。
「湿生花園案内図」が設置されています。少し園内散策してみます。
この辺りにはザゼンソウがあるようですが、見つける事は出来ませんでした。
園内のあちらこちらに採水装置が設置されています。
エゾリュウキンカの案内板も有りましたが、もう時期が遅いのか花を見つける事は出来ませんでした。
1時間弱園内を散策させていただきました。花の咲いているシーズに訪れるともっと楽しめたのかも知れませんが、緑が綺麗でとても気持ちよく散策する事が出来ました。
せっかくなので白水鉱泉の天然炭酸水を味見させていただきました。この湧水は「ラムネ水」とも呼ばれ、飲用も可能で砂糖を加えるとサイダーに似た味になるそうです。試飲や500mlのペットボトル1本までは無料だそうです。私は砂糖を持参していないのでそのまま飲ませていただきましたが、癖も無く程よい炭酸の刺激で市販の炭酸水と変わりないように感じました。この後、来た道を戻り今夜宿泊する飯田高原に向かいます。
大分県玖珠郡九重町にある「くじゅうエイドステーション」に到着しました。このキャンプ場はくじゅう連山の麓、標高900mの飯田高原にあり、キャンプ場もさる事ながら旧国鉄の貨車を改造した宿泊施設もあります。
チェックインを済ませ周囲を散策します。宿泊用の貨車が並んでいます。
キャンプ場にはいくつかのテントも設営されていました。
今夜宿泊する貨車です。横に展望デッキも付いています。今回私はテントを持って来ていないのでここに宿泊し、夕食と朝食も食堂でいただきます。
夕食を済ませ貨車に戻りました。貨車を改造した室内は机と椅子が置かれた部屋とベットルームの二部屋になっています。デッキに出て夕暮れのくじゅう連山を眺めながら温泉玉子を肴にビールをいただきます。さすがに深夜から長距離を走っているので一気に睡魔が襲ってきました。今夜は早々に床に就きゆっくりと休む事にします。
朝食をいただき出発します。「やまなみハイウェイ」を走り「長者原」に到着しましたが今日は生憎雲がかかっていて、雄大なくじゅう連山を望む事は出来ませんでした。昨日通過した際に撮影しておけばよかったと少し後悔しています。
標高1,330mの牧の戸峠を越えます。ここまで来れば天気が良くなってきたようです。
交差点の少し手前で熊本県に入りました。この瀬の本交差点で国道442号線を右折すれば黒川温泉方面、左折すれば長湯温泉方面に行く事が出来ますが、私はこのまま直進します。
阿蘇くじゅう国立公園を爽快に走り抜けます。
放牧されている牛をバックに撮影しました。
「やまなみハイウェイ」で「ミルクロード」を目指します。
今日はさほど暑くも無く、最高のツーリング日和です。
水分峠の起点からここまでは47kmのようです。先に熊本県道45号線の案内板が見えて来ました。この交差点から「やまなみハイウェイ」は「ミルクロード」との共用区間になります。
交差点から1.5km程進んだ阿蘇市一宮町三野の交差点を左折すると、共用区間から「ミルクロード」の単独区間になります。
「ミルクロード」と言う響きに魅かれ以前から走ってみたかった道路です。
対面1.5車線や2車線の走りやすい道路です。「ミルクロード」は一つの道の名称ではなく、県道や広域農道など幾つかの道路の総称だそうです。
道路には「牛馬優先」の立て看板もありました。
2km程道なりに進むと交差点があり、そのまま進みましたがどうやら道を間違えていたようなので交差点まで戻ってきました。写真の右から走って来てそのまま国道57号線やうぶやま牧場方向に走っていました。この交差点を「ミルクロード」は右折(写真では前方向)しなくてはならなかったようです。
交差点から7km程で阿蘇市波野の国道57号線交差点に突き当たりました。ここが「ミルクロード」の起点か終点です。
国道57号線を熊本方面に少し走ってUターンし「ミルクロード」入口まで戻って来ました。「ミルクロード」は阿蘇山の外輪山北側の尾根を走る道路で、沿道に沢山の牧場がある事から名付けられたそうです。牧場の草原地帯の中を広大な景色を楽しみながら走る事が出来、ツーリングには最適のコースのようです。「ミルクロード」をスタートします。
道路脇には火山灰土の黒い畑が広がっていました。
牧場の草原ではトラクターで何か作業をされています。
「ミルクロード」周辺には沢山の牧場が点在しているようです。
国道57号線から道を間違えた交差点までの区間は対面の1.5車線です。
「やまなみハイウェイ」の交差点まで戻って来ました。「ミルクロード」は右折し共用区間となります。
「やまなみハイウェイ」を1.5km程戻ると県道45号線の交差点の案内板が見えて来ました。「ミルクロード」はこの交差点から県道45号線との供用区間に変わり大観峰方面に向かいます。
「ミルクロード」は阿蘇の外輪山の上を走ります。
「やまなみハイウェイ」の交差点から7km程「ミルクロード」を進むと大観峰が見えて来ました。
大観峰の駐車場までやって来ました。沢山のバイクも止まっています。
世界屈指のカルデラである阿蘇五岳の雄大な風景が望める場所ですが、生憎今日は霞んでいます。
しっかりと展望を楽しみ喉を潤し、タバコもしっかりと吸ったので出発します。
直進し「ミルクロード」を進みます。
大観峰から7km程進むと交差点があり「ミルクロード」は左折し県道339号線との共用区間に変わります。
大観峰から12km程進むと、昔アニメであった「天空の城ラピュタ」の世界を思い起こさせる道路、「ラピュタの道」こと阿蘇市道「狩尾幹線」がありますが・・・
熊本地震で山肌の崩壊や路面の亀裂が多所で発生し、復旧には100億円以上必要で、残念ながら復旧は断念され現在も通行止が続いているようです。せっかくなのでバイクを置いて高台へ上がってみます。
高台までやって来ました。かなり崩壊しているようです。阿蘇谷の町から阿蘇の外輪山を走る「ミルクロード」に向かって尾根の断崖に沿って造られたこの道は、「ラピュタの道」とか「天空の道」と呼ばれ、まさに天空への道と呼ぶにふさわしい、すばらしい景観を誇る道路だっただけにとても残念です。バイクに戻り先に進みます。
大観峰から20km程走ると「ミルクロード」脇に残る「二重峠《ふたえのとうげ》」に到着しました。ここから阿蘇谷に下る「二重峠の石畳」は加藤清正が築いた街道だそうで、火山灰土のため雨が降ると通行が困難になる九十九折りの急な坂道に石畳を敷いたようです。1.6km程ある石畳は現存するのもとしては国内最長とも言われ、勝海舟や坂本竜馬も歩いたと伝わり、江戸時代には参勤交代にも使用されていたロマン漂う街道です。
「ミルクロード」を下って行くと県道23号線の交差点に出て来ました。この交差点で「ミルクロード」別れ、私は県道23号線の阿蘇方面に左折します。
阿蘇山の外輪山を下って行きます。前方には熊本地震の際崩れたと思われる山肌が見えています。
県道23号線を下り「二重峠の石畳」の下側に下りて来ました。石畳脇には茶屋跡があり当時の旅人の休憩場所だったようです。今では道路として使用される事は無くなったようですが、地域の方々の努力により朽ちることなく当時さながらに保存されている事に嬉しく感じました。この街道を歩けば当時の殿様が見た景色を眺められるのかも知れません。今回は時間も無い事から先に進みます。
県道23号線で国道57号線の「ミルクロード入口」交差点まで出て来ました。この交差点を右折し高千穂方面に向かいます。
国道57号線の「下野」交差点まで来ましたが、ここから先、国道は熊本地震の際に崩壊し通行止になっています。私は左折し県道298号線で高千穂、阿蘇山頂方面に向かいます。
県道298号線を上って行きます。前方に阿蘇五岳が間近に見えて来ました。
目の前に美しい円錐状の杵島岳《きしまだけ》が迫って来ました。この山は阿蘇五山の一つの峰で、山頂と東山腹に3つの火口跡があるそうです。
阿蘇山が見えて来ました。噴煙を上げる阿蘇山をバックに撮影です。
少し進むと左側に草千里が見えて来ました。
草千里と噴煙を上げる阿蘇山です。
草千里を通過し阿蘇山へ向かいます。
「古坊中」までやって来ました。草千里方向を撮影しました。
バイクの向きを変え阿蘇山をバックに撮影しました。今回は阿蘇山頂まで上がらないのでここから阿蘇山を撮影する事にします。
「古坊中」と阿蘇山です。
阿蘇山の河口付近です。
400mmズームでさらに噴煙をアップにしてみました。
少し戻った駐車場の傍にはヘリポートがり遊覧飛行が行なわれていました。
草千里まで戻って来ました。
阿蘇山を出発し帰路に就きます。
熊本地震で落橋した阿蘇大橋付近の様子ですが、山肌もかなり崩壊しているようです。
県道298号線から県道111号線に乗換え少し進むと左側に米塚が見えて来ました。米塚は高さ80m程の火山の跡で山頂に見える凹みが火口跡のようです。綺麗な形をしていて周囲は柔らかそうな草原に覆われ緑がとても綺麗です。米塚の名の由来は、阿蘇の神様「健磐龍命」《たけいわたつのみこと》が米を積み上げたという神話から名付けられたそうです。
この辺りも山が崩れているようです。
放牧されている牛たちの先に外輪山が望めます。
放牧場の先に阿蘇山の噴煙が見えて来ました。
横たわる牛たちの先に阿蘇山の噴煙が見えています。
阿蘇市街地を抜け国道212号線を上っていると「山田駐車場 撮影ポイント」の案内板があったのでタバコ休憩がてら立ち寄りました。
前方には大観峰がそびえ立っています。
眼下に広がる田園の先に少し霞んでいますが阿蘇五山が望めます。タバコもしっかり吸ったので出発します。
外輪山の山頂付近で「ミルクロード」の高架橋の下を潜り少し進むと「ミルクロード」に上がる三差路がありました。
峠を下だり阿蘇郡小国町で、国道212号線から国道387号線に乗継ぎます。
国道387号線を走っていると道路脇に旧国鉄宮原線《みやのはる線》の北里駅跡が有ったので立寄ってみました。1954年(昭和29年)に開業し、1984年(昭和59年)に国鉄宮原線の廃止に伴い廃駅となったそうです。この駅跡のある小国町北里は、医学博士の北里柴三郎の出身地で、近くに北里柴三郎記念館もあるようです。
ちなみに「宮原線」は九州で最初に廃線になった国鉄の路線で、線名の「宮原」は、終点の肥後小国駅のあった小国町の大字名から付けられたそうです。
北里駅跡近くにある5連アーチ橋の北里橋梁まで来てみました。この橋梁は建設されたのが戦後間もない時期で、鉄が不足していた事から鉄筋の代用として竹を使用し建設された「竹筋コンクリート製」だそうです。旧宮原線の現存する7本のアーチ橋は全て竹筋コンクリート製だと言われ、2004年(平成16年)には国登録有形文化財にも指定された、とても珍しい橋梁群の一つです。駐車場まで戻り先に進みます。
国道をしばらく進むと田園集落に3連アーチ橋が見えたので脇道に入ってみました。堂山橋梁と汐井川橋梁で、この橋梁も竹筋コンクリート製のアーチ橋です。右側の堂山橋梁の先には涌蓋山《わいたさん》も望め、列車が走っていた当時は面白い撮影ポイントだったのではないでしょうか。国道に戻り先に進みます。
九重町引治で国道387号線から大分県道681号線に乗換え、九重町役場付近まで出て来ました。ここから国道210号線に乗継ぎます。
水分峠の交差点まで戻って来ました。この交差点を右折すると「やまなみハイウェイ」ですが、私は左折し別府、大分道方面に向かいます。
「道の駅 ゆふいん」で休憩です。大分土産と言えば「とり天」関連商品です。土産をしっかりと購入し、タバコの吸いだめし、湯布院ICから大分道に乗り帰路に就きます。
東九州道から中国道に乗継ぎ美東SAで給油を兼ねて休憩します。上り線美東PAと言えば、やはり「麺処 瓦屋」の「美東瓦そば」(900円)です。このSAにも必ず立ち寄り食べる一品です。
瓦を模した熱い器に茶蕎麦、錦糸卵、牛肉、海苔、ネギ、それにレモンともみじおろしが盛られています。茶蕎麦のカリカリとした食感と錦糸卵のしっとり感、牛肉やネギとのコラボが最高です。以前妻と川棚温泉の「元祖 瓦そば たかせ」の瓦そばを食べて、瓦そばの魅力に取りつかれましたが、なかなか食べに行く機会が無くSAで24時間いつでも気軽にご当地メニューが食べられるのは重宝します。しっかりとタバコの吸いだめをして出発します。
途中宮島SAでタバコ休憩し玉島ICまで一気に走り、国道2号線で午前2時前に無事帰宅しました。やはり長距離走行は多少疲れましたが、気になっていた「ミルクロード」や久しぶりの「やまなみハイウェイ」、雄大な阿蘇山も満喫する事が出来、「日本一の打たせ湯」も楽しめ疲れ方も違うような気もします。また機会を作って走りに行ってみたいと思います。