今回は九州ツーリングの三日目です。今日は近くにある山里の湯で朝湯を楽しんだ後、名水百選にも選定されている男池《おいけ》湧水群や日本では珍しい天然の炭酸水が湧き出る白水鉱泉《しらみずこうせん》、湯平《ゆのひら》や湯布院などの温泉巡りをし、最後に別府で前から気になっていた大分名物のとり天丼をいただき帰路に就く予定です。
朝6時過ぎに目覚めキャンプ場内を散策します。キャンプ場内には綺麗な水の流れる渓流があります。
トンボがやってきて葉っぱに留まりました。
三俣山《みまたやま》が望めるテントサイトもあるようです。
今日は平日の月曜日ですが数組の方々がキャンプを楽しまれているようです。
朝7時、昼食をいただきます。
隣の貨車の宿舎に宿泊されていた方と記念撮影です。大阪からサイクリングに来られたそうで、フェリーで大分まで渡られ、そこからやまなみハイウェイを走り熊本まで抜けられるそうです。しかし、ここに到着前に足の調子が悪くなり、しばらくこの地で休養、今日この後熊本を目指し出発されるそうです。
今日は土産物も沢山購入するのでサイドバックを拡張しておきました。このサイドバックは38Lと56Lの可変式で拡張機能もあるのでとても使い勝手がいいです。
9時30分、出発します。
途中くじゅうエイドステーションのオーナーの家族の方が経営されている相沢商店でトウモロコシを購入しようと立寄りましたが、配達中の札があり閉まっていました。ただ待つのもと思い、先に近くにある山里の湯で温泉を楽しみ、その後再度立寄ることにします。
昨夜訪れた筌の口温泉近くにある山里の湯に到着しましたが、何と臨時休業です。
昨晩この温泉にくる予定でしたが営業時間が20時までだったので間に合わず、今日訪れればいいと昨晩は24時間営業の筌の口温泉に行ったのですが……
ここの温泉は筌の口温泉とは泉質が異なる炭酸泉です。炭酸泉といえば、ぬるいところが多いようですが、この温泉は少し温かいのが特徴で源泉かけ流しの温泉です。
楽しみにしていたのでとても残念ですが、仕方がないので引き返します。相沢商店で20分ほど待ちましたが結局帰ってこられず、諦めて先に進むことにしました。
給油後、やまなみハイウェイの飯田交差点から県道621号線を東に走ります。この道路は、ぐるっとくじゅう周遊道路という観光ルートの一つで、くじゅう高原や温泉、湧水などを巡る延長約70kmの循環型の広域観光ルートとして大分県が策定されたそうです。
右から三俣山、平治岳《ひじだけ》、そのすぐ奥に大船山《たいせんざん》、一番左が高塚山ではないかと思います。素晴らしい山並みを楽しみながらの走行です。
ぐるっとくじゅう周遊道路を走っていると、正面に大船山が見えてきました。このルートは四季折々に大自然の素晴らしさを楽しませてくれそうです。
男池湧水群に到着しました。駐車場にバイクを置き男池園地入口までやってきました。
清掃協力金として100円を支払い入園します。
この付近は原生状態が保たれている貴重な森林で、その原生の木々の中を散策しながら湧水や滝を巡ることができるようです。
男池湧水に向かいます。ブナやカエデ、クヌギなどの茂る森には、樹齢300年を超える大木もあるそうです。
猿の腰掛を発見!
心地よい木漏れ日の中を進みます。
マムシグサが実をつけていました。秋になるとこの実が赤く色付くようです。
入口から5分足らずで男池に到着しました。水汲み用にでしょうか、池までスロープも設けられています。
男池の湧水は日本名水百選に認定されていて、水質は炭酸水素カルシウム型、水温は年間をとおして12.6℃と変わらず、湧出量は毎分約14tと豊富なこともあり祝祭日などには沢山の方が水を汲みに訪れているようです。
青く透きとおった水は神秘ささえ感じます。湧き出ている水をいただいてみましたが、とても冷たく、まろやかで柔らかい感じの美味しい水でした。
ここから川沿いの遊歩道を進むと15分ほどで名水の滝まで行くことができるようですが、私は駐車場に戻りバイクで向かうことにします。
数分で名水の滝の駐車場に到着しました。車が数台置けるだけの小さな駐車スペースがあり、その脇から滝へ降りれるようです。
少し下ると木々の間から名水の滝が見えてきました。
男池などから流れ出た名水が一つに集まり、ここで二つに分かれ流れ落ちています。然程大きな滝ではありませんが豊富な水量に加え、間近で見ることができるため迫力を感じます。
滝壺も青く美しい滝です。
滝といえば、やはりスローシャッターで流れを表現してみたいです。
滝壺の縁には飛び石があり、遊歩道が男池方面に繋がっているようです。
名水の滝をしっかりと楽しめたので、駐車場に戻ります。
次に訪れたのは名水の滝から5分足らず、白水鉱泉《しらみずこうせん》に到着しました。白水の名前は、炭酸が混じることで湧水が白く見えたことに由来するそうで、九州の秘境ともいわれる阿蘇くじゅう国立公園の黒岳の原生林から湧きでている天然の炭酸水です。
ミネラルウォーターの水質基準にも適合していて、 無色透明、無臭でミネラル成分も豊富に含まれている炭酸水です。
そんな天然炭酸水に……
持参したスティックシュガーを加え天然サイダーを作ります。しかし、2本スティックシュガーを入れましたが、サイダーの味には少し程遠い感じになりました。何事もチャレンジしてみなければ分からないものです。
この後以前妻と訪れた平湯温泉に向かいます。
この交差点を右折すれば、ラムネ温泉で有名な長湯温泉に行くことができますが、今回は左折し湯平、湯布院方面に向かいます。
白水鉱泉から20分ほど、湯平温泉に到着しました。温泉街の中を走る石畳が有名な温泉地です。
湯平は鎌倉時代から続く歴史ある湯治場で、この石畳の魅力に惹かれ以前妻と宿泊した温泉地でもあります。
石畳の道を最上部まで走り、折り返し下ってきました。湯平温泉には5つの共同浴場があり、そのうちの一つ湯平温泉の中で最も古い歴史のある金の湯です。以前訪れた際にはこの共同浴場にも入りました。
以前妻と訪れた際、宿泊したつるや隠宅です。2020年(令和2年)の豪雨の影響で旅館業を廃業され、その旅館の建物をゆのひら温泉観光協会が引継ぎ、観光案内所と休憩所として2022年(令和4年)に新たに再スタートされたようです。
銀の湯共同浴場にやってきました。以前この共同浴場にも入浴し、とても泉質がよかったので今回この銀の湯に入浴しようと思います。この共同浴場は昔は川の中にあったそうで、銀粉のような白い結晶物が湯の中に混じっていたことから銀の湯と呼ばれるようになったようです。
しかし……
5つある全ての共同浴場が地域住民しか利用できないという看板が置いてありました。楽しみにしていただけに、とても残念です。今日は温泉巡りを楽しみにしていたのですが、どうも温泉に縁がないようです。
仕方がないので石畳をバックにCBR400Rを撮影し出発することにしました。
湯平温泉から県道537号線を下り国道210号線で湯布院に向かいます。
国道210号線から県道11号線に乗継ぎ、湯布院市街地手前を走っていると由布岳が綺麗に見えていたので撮影しました。
湯布院を代表する観光スポットの一つ金鱗湖は、秋から冬の早朝に見られる湖面からの湯気が幻想的な雰囲気を醸し出すそうです。今まで何度か宿泊した由布院温泉ですが、毎回時期が合わず残念ながらまだその光景を見たことはありません。また秋か初冬に機会を作って訪れてみたいと思います。
余談になりますが、湯布院には湯布と由布と二種類の漢字が使い分けられています。元々の地名が由布院町で、1955年(昭和30年)に湯平村と合併した際に湯布院町となっています。そのため一部で混同して使用されているようですが、由布院温泉、由布院駅、由布岳など合併前からあるものには由布を、合併後の旧湯平地区を含む場合は湯布院ICのように湯布と使い分けられているそうです。最近ではその混同を避けるためか、ゆふいん観光協会のように平仮名表記もされているようです。
金鱗湖脇にある茅葺き屋根の下ん湯共同浴場にやってきました。混浴温泉で内湯と露天風呂があります。綺麗に管理されていて気持ちよく温泉を楽しませていただきました。
温泉から出てバイクに戻ると、福岡からツーリングで来られ入浴に立寄られたという方々と合いツーリング談話、その方たちは温泉に向かわれ、私は別府温泉に向かい出発しました。
湯布院から30分ほどで別府温泉に到着しました。せっかくなので別府の湯も楽しみます。
地獄原《じごくばる》温泉共同浴場にやってきました。名前に地獄と付き恐ろしそうですが、ごく普通の温泉で、泉質はナトリウム-塩化物泉(弱酸性、低張性、高温泉)です。
入口にはお地蔵さんが祀られていました。お参りしていざ入浴!
しかし……
やはり地獄!
思わず熱い! と声が出てしまい、先に入浴されていた地元の方に笑われてしまいました。その方が出られる前、別府の温泉はどこもこんなもんですよと言われ、熱かったらぬるくしていいですよとも言ってくださったので、その言葉に甘え少しぬるくさせていただき、しっかりと別府の湯を楽しませていただきました。
湯上りに別府名物の地獄蒸しプリンをいただきにいきます。
明礬地獄にある岡本屋にやってきました。
立ち上がる湯煙や湯の花小屋を眺めながら地獄蒸しプリンをいただきました。
この後、別府湾SAに向かいます。
別府湾SAにやってきました。出発前に大分名物のとり天丼をいただこうと思います。SAでは地元の郷土料理が手軽にいただくことができるので、とても重宝しています。
カウンターでとり天南蛮丼というメニューがあったのでオーダーすると、これから揚げますので10分ほどかかりますと言われ土産物を見ながら待つことに……
10分ほどで呼出ベルが鳴りカウンターで、でき立てアツアツのとり天南蛮丼を受取りテーブルへやってきました。
大分のソウルフードといえばやはり、とり天です。そのとり天がご飯の上にしっかりと乗りタルタルソースが掛かっていて美味しそう!
味はサッパリとしていて、とり天は柔らかい! 初めていただいたとり天丼でしたがとても美味しくいただくことができました。
沢山購入した土産物を拡張しているサイドバックに入れ、19時少し前に別府湾SAを出発しました。
別府湾SAから2時間少し、21時10分に美東SAに休憩に立寄りました。10分ほど休憩し出発します。
2時間ほど走り、小谷SAに立寄ろうとランプに入ると駐車場手前で大型貨物が停車し停滞中です。するとモクモクと煙が私を襲ってきました。迷惑な排気ガスだなと思いつつ、しばらく待って駐輪場に停車すると……
何と原因は私でした!
マフラーからの排気熱でサイドバッグ下部の一部が溶けて燻っているではありませんか!
急いで取外し洗面所で水をかけ消火し何とか鎮火しました。しかし洗面台周辺は焦げた灰が散らばって汚れてしまい、持っていたタオルで清掃を試みましたが十分な処理ができません。非常電話で管制室に連絡したところテナントの方が対応してくださるそうです。
しばらくするとテナントの方がホウキと塵取りを持って来られ一緒に清掃してくださり、清掃員が明日綺麗にしますから後はいいですよと言ってくださいました。
テナントの方にお願いし紐を分けていただき、少し高い位置にサイドバックを固定しました。ナイロン紐なので少し心配でしたが、ゆっくり走れば大丈夫だと判断し出発することにします。
次の高坂PA、その次の八幡PAでそれぞれ状況を確認、特に異常はなかったのでそのまま自宅まで走りました。
サイドバック下部の状態です。もう少し気付くのが遅れていれば、発火したり内容物が路上に落ちて大変なことになるところでした。
東九州道は対面通行ということで70kmの速度規制、九州道、山陽道もほぼ制限速度で走行し、美東SAでは異常はありませんでした。それ以降少しエンジンを回し過ぎたようで、高温の排気熱がバック下部に強く吹き付けられたのが原因ではないかと思います。また拡張部が薄いナイロン生地だったことも一因で、拡張していなければ高温の排気熱が当たったとしても特に問題は起こらなかったと思います。
合羽やオーバーシューズ、レイングローブなど溶けたものはPAで処分させていただきましたが、バックはそのまま持ち帰りました。翌日状況を見ると拡張部のナイロン生地が溶け、中に入れていた着替えなどを入れていたバックが蒸し焼き状態でした。バックの中の着替えやカメラの充電器、歯磨き、お気に入りの帽子なども溶けたり焦げたりでこの有様です。
ただ、発火したり内容物が路上に落ちていたことを考えると、これだけですんだのは幸いだと思います。
サイドバックの中もかなり溶けていました。もはや再利用はできないかも……
今回は久しぶりの二泊三日のソロツーリング、三日間の総走行距離は1,372km、雨に祟られ多少予定が狂ったり最後にサイドバックが焼けるというハプニングもありましたが、前から気になっていた東洋のナイアガラと言われている原尻の滝や阿蘇の外輪山を走るミルクロードの未走破の部分を完全走破、阿蘇山頂にも行くことができ、しっかりと九州の温泉も楽しむことができた有意義なツーリングでした。また機会を作って長距離ツーリングを計画してみたいと思います。